着物のお話・江戸小紋 グレーの江戸小紋(御召し十)です。一見無地に見えますが、近くで見ると細かい模様が見えます。 江戸小紋のルーツは武士の裃です。江戸時代、各地から多くの武士が江戸に集まってきました。各藩は特定の柄を藩のシンボルとし、ひと目でどこの藩の武士かわかるようにしたとの事です。 グレーの江戸小紋 (御召し十) 紫のぼかしの袋帯 藤色の帯揚げ・帯締め ↑の模様のアップ 江戸小紋の代表的な柄には、鮫小紋・角通し・万筋などが有りますが、これは御召し十という柄です。徳川将軍家・家康の裃の紋様です。この柄の裃をつけていれば、江戸城の中で誰とすれ違っても道を譲ったりしなくて良いというスグレ物です!○×○×の連続模様で、なぜ家康がこの柄を自分の裃に選んだかは不明ですが、戦国時代を生きぬいた家康ですから勝戦・負戦いろいろあったなという想いからではという話も有ります。私はこの柄を見た時に、水戸黄門の♪人生楽ありゃ苦もあるさ〜♪の歌が思い浮かびました。ピッタリ! このれんこん模様の布は長襦袢を作った時の残りです。着物や帯や長襦袢などを作ると布があまることが有ります。残布でバックや帯揚げなどを作ります。(御召し十の残布も実はあるものに変身しています。)このれんこん模様は実物はもっとかわいいのですが、でもなぜ"れんこん"なのかと、思われるかもしれません。そこでまた、江戸小紋のことを書いてみようと思います。 れんこんには沢山の穴があいていることから「見通しが良い」と言われ縁起の良い模様とされています。れんこんの他にも"豆”→まめに暮らせるようとか、"茄子”→物事を成すといったように、野菜の模様だからといって侮ってはいけません。意味があり、想いが込められています。 江戸小紋は一見無地の地味な着物に見え、京都の友禅染のように誰が見ても華やかで美しいとわかるものとは違います。「わかる人にだけ、わかってもらえばいい!」これが"江戸の粋”というもの・・・です。私も江戸の粋を極めてみたいと思いますが、前途多難です。 裃小紋の"鮫”です。一面に細かい点を染め抜いた文様。 島津家の定小紋でした。 極々鮫(ごくごくさめ)・極々行儀(ごくごくぎょうぎ)・極々角通し(ごくごくかくとおし)を江戸小紋の三役といいます。極とは細かいという意味です。 その他、菊菱〜加賀前田家、胡麻〜肥前鍋島家 、大小霰〜薩摩島津家 が有名な定小紋です。 |
色無地と同じように、家紋をつけることで着物の格が上がります。格のある柄なら一つ紋を付けて略礼装になります。帯次第で年始などの正式訪問、お茶会、お宮参り、七五三)、入学式、卒業式と幅広く着用できる便利な着物です。また、黒共帯をしめれば略喪服となりお通夜や法事に着用できます。 |